当記事では企業型確定拠出年金(企業型DC)について解説しています。
従来、企業が従業員の年金として積立と運用をしていた「企業年金」から、加入者(従業員)自身が運用をする「確定拠出年金」へ制度を変える会社が増えているそうです。
参考:パナソニックに続いてソニーも確定拠出年金100%へ~なぜグローバル企業は確定拠出年金に切り替えるのか

ソニーは確定給付企業年金と確定拠出年金、退職一時金の3制度を採用していますが、確定拠出年金導入前の過去の積み立て分については確定給付企業年金に置かれていました。どうやらこれを完全に確定拠出年金に切り替える(資産も移す)ようです。
企業にとって確定拠出年金への切り替えはメリットが大きい
大企業にとっては給付型年金という債務を取り除けるメリット。社員の側は企業年金という「人質」で会社に縛られている状態から解放されるメリット。なるほど。/パナソニックに続いてソニーも確定拠出年金100%へ~なぜグローバル企業は確定拠出年金に切り替えるのか https://t.co/2JsDVHm16n
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) October 31, 2018
iDeCoが加入者100万人で喜んでいる裏で企業型確定拠出年金の加入者は600万人以上。会社員の5人に1人が入っている計算。
企業としては会計上の債務額を圧縮できグローバルでの不公平感を直せる。個人としても退職したときでも資産は変わらずもらえるので転職のハードルが下がるメリットがあるそうですね https://t.co/QhoDYs0GNd— シロガネ@外資IT企業セールス&投資系YouTuber(金融資産1,500万円) (@shirogane06) October 31, 2018
給付型の企業年金は会社にとっては「債務」
給付型年金だと企業の会計上「債務」として扱われるため、業績が悪くなったときに株主から指摘されやすいんですね。
「業績が落ちているのにこんなに債務があって大丈夫か⁉」
みたいな感じです。
そうすると、
- 企業の業績が下がる
- 決算発表をする
- 株主が株を売却する
- 株価が下がる
- 企業年金が保有する資産の価値が下がる
- 決算発表をする
- また株価が下がる
といった負のスパイラルになってしまいます。
企業年金はグローバルで見れば珍しい制度
ソニーのような大企業はアメリカにも当然支社があります。
しかし、アメリカの企業では給付年金というものはなく、基本的に企業型確定拠出年金で従業員が自分の資産として運用をしています。
ここで問題になるのは、
「同じソニーに勤めているのにアメリカだと確定拠出年金で自分で運用をして、日本だと企業年金で優遇されている!」
と批判が起きることなんですね。
グローバル企業であればあるほど日本独特の企業年金制度を維持するのが難しくなっているということです。
中小企業は厚生年金基金制度が維持できない
中小企業でも、これまで業界内で厚生年金基金制度を作って企業年金の管理・運営をしていました。
しかし、最近は厚生年金基金制度が解散していく傾向があるため企業は確定拠出年金に切り替える必要が出てきています。
ちなみにシロガネの勤めているアパレル企業でも、アパレル業界の厚生年金基金制度がありましたが昨年解散になりました。
理由としては、
- 運営による利益が減少してこれからも給付額を維持することができない
- 運営自体のコストが大きすぎる
といった感じでした。
大多数の年金をもらう世代を現役世代が養うことができない点は国民年金と似ていますね。
個人にとっても確定拠出年金はメリットがある
個人にとっては自分自身で運用商品を選ぶ必要があり、その結果も自己責任になる企業型確定拠出年金ですがメリットもあります。
これまで主流だった給付型年金では新卒で入社した会社に定年まで勤めた「ご褒美」としてもらえるものでした。
ですので、まじめに定年まで勤め上げた人には大きなメリットがありますが、反対に途中で退職したり転職するとご褒美がもらえなくなってしまうんですね。
しかし、企業型確定拠出年金であれば不当な解雇や転職でも個人の資産としてもらって退職ができるというメリットがあります。
1社で定年まで勤め上げるのが非常識になってきた現代においては企業型確定拠出年金のほうが制度として適していると感じます。
確定拠出年金。やっていますか?お得ですよ。
シロガネは企業型確定拠出年金に加入して毎月26,000円の掛け金で運用をしています。
それなりに長い期間運用を続けているので資産額は100万円を超えていますね。
関連記事:【運用成績公開】確定拠出年金の運用が100万円を超えました。利回り10%以上の好成績。
通常の資産運用の場合、運用して儲かったお金の20.315%は税金として引かれます。
しかし、確定拠出年金の場合は運用益が全額非課税になるので手取りが大きくなるメリットがあります。
更には拠出したお金が所得控除されるため、毎年の税金を抑えることが可能です。
こうした節税効果が非常に高い確定拠出年金は資産運用として非常に有利な制度なので、企業型確定拠出年金制度がある会社に勤めている人はなるべく限度額いっぱいまで拠出したほうがお得でしょう。
我が家では夫婦ともに確定拠出年金に加入しているので毎年の節税は馬鹿になりません。
関連記事:夫婦で資産運用するなら確定拠出年金がおすすめ!|我が家の運用実績を公開
という人は「確定拠出年金で利回り5%以上を狙う具体的な4つのテクニックを解説」をお読みください。
商品の選び方が分かりやすく解説されているので参考になりますよ!
企業型確定拠出年金の制度がない人はiDeCo(イデコ)がおすすめ
勤めている会社に確定拠出年金制度がない場合や公務員の人は「個人型確定拠出年金(イデコ)」に加入すれば同じ節税効果を受けることができます。
関連記事:iDeCo(イデコ)とは?今さら聞けない概要を分かりやすく解説
企業型確定拠出年金と違って自分で金融機関を選ぶ必要があるので少し面倒ですが、迷ったらSBI証券のiDeCo(イデコ)を使っておけば間違いないでしょう。
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