はじめに
今回はこちらの書籍を参考にお話します。
サマリーは下記の内容になります。
アービトラージとは
アービトラージとはもともと投資関係の用語です。具体的には、
「裁定取引と訳され、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。」
貼り付け元 <http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/sa/J0288.html>
ビジネスにおいては、”情報の非対称性”を用いた用語として使われることがあります。
2.アパレルSPAに見るアービトラージ
百貨店のアパレル商品の原価率(仕入れ原価の販売価格に対する割合)はどの程度かご存知でしょうか?
平均して70%前後です。
これはブランド価値があることも要因ですが、消費者がアパレルの原価に対する情報が少なかったことが大きいと思います。
かつてのアパレル小売店は、卸や商社の中間業者から商品を仕入れ販売をしていましたが、これも情報の非対称性があったからこそ成り立ったビジネスモデルです。
消費者は百貨店の仕入れ価格を、百貨店は中間業者の仕入れ価格を、それぞれ知らないからこそかつてのアパレルの高利益体質が成り立っていたのです。
しかし、ユニクロに代表されるSPA(製造小売業)は中間業者を排除し、自社で生産したものを自社で販売するビジネスモデルを立ち上げました。
これにより、消費者は高品質で低価格な商品を購入できるようになりました。
Tシャツ一枚は1000円程度、という価格が認知されたため、百貨店のシェアは減少しました。
3.アービトラージはもう古い?
アービトラージの本質は”消費者が求めているポイントを追求する”点にあります。
ファッションのSPAにおいては、過剰な品質やサービスよりも、ベーシックで買いやすい価格で洋服は良い、と考えるニーズを追求したものになります。
しかし、こうしたアービトラージは他社による追随も多く、SPA業態の多くがファストファッション系の企業やEC系のサイトに押されているのは周知の事実です。
インターネットの登場で、以前ほどアービトラージを用いたビジネスモデルの賞味期限が長くなくなったことがとても大きいのです。
そんな中で、面白いビジネスモデルの企業があったのでご紹介します。
4.アパレルECサイト”エバーレーン”
アメリカのファッション通販の企業ですが、このビジネスモデルの大きな特徴は、”商品の原価も生産している工場もオープンにする”という点です。
- 生産原価
- 工場の取り分
- 輸送費
- エバーレーンの利益
これらを具体的に表示し、かつ”一般的なセレクトショップでの販売価格”も記載します。
同程度のクオリティーの商品が安く購入できることと、それがオープンになっている点が非常に大きな差別化要因になります。
このエバーレーンはファーストリテイリングの柳井会長が”最も日本に参入してほしくない企業の一つ”と評しております。
また、アメリカでは急成長しているビジネスモデルになります。
こうしたアービトラージを完全に排除したビジネスモデルがあることも参考になりますね。
さいごに
アービトラージの発想を持ってビジネスを考えると、今までの固定概念が減ってくると思います。
当然だと思っていたクオリティーや仕事などを排除し、消費者が求めている本質を理解するのは簡単ではありませんが、情報収集を怠らずに常に考え続けることでその力は鍛えられると大前さんは述べています。
ご一読ありがとうございました。