始めに
こちらの本は実話をもとにしたフィクションになります。
Amazonのレビューが非常に高かったので購入しましたが、やはり非常に勉強になる内容でしたので、ご紹介させていただきます。
こちらの本は小説仕立てで進みます。
その中で主人公が「倉庫の管理・改善」、「在庫の管理・改善」、「マネジメントの管理・改善」をしていくお話です。
それぞれ具体的な内容なので、とても理解しやすいと思います。
倉庫の管理・改善
・場所は広ければ広いほど効率が悪くなる
なぜなら置いておくことができるため、物の滞留が増える
スペースを制限することで滞留が減らせる
「広く、長く、よりも狭く、短く」
メキシコの生産倉庫で大きなトラブルが発生し、商品の返品が大量に戻ってきている事態に対し、主人公はあえて倉庫のスペースを制限し、効率を上げるように仕組みを変えました。
在庫の管理・改善
・会計上、在庫は資産として計上される。しかし、在庫になっている間は「現金」になってはいない。在庫は、いつ回収できるか分からない負債。
在庫日数100日のものは倉庫で100日間眠っているだけ
・在庫の滞留が発生している場合は、生産をしなければいい
作れば売れる時代は、大量に生産することでコストが下がり、利益が上がるが、競争が激化している現代は必ずしもそうではない。むしろいつ売れるか分からない在庫を抱えてかえって利益が減ってしまう可能性が高い
・売れる分だけ在庫を持ち、不要な在庫を持たないのが理想
・1日1億の在庫が100日滞留しているのならば、在庫金額は100億円
それを1週間に短縮できれば、93億のキャッシュが生まれ、かつ在庫保管のコストも減る
・「作りすぎはあの世行き。釣り糸はピンと張って、ウキの動きをよく見る。そうしないとアタリが分からない」
少ない在庫で市場の動向を見て生産する
・在庫を絞って、売れ数が増えたのならばそれに応じて在庫量を増やす。
需要連動型生産が理想。
・たくさんの品ぞろえがあるほうが、お客さんに買ってもらえるチャンスは増える。
しかし、その分在庫が増え、現金が寝てしまう側面もある。
供給期間(リードタイム)を短縮することで、少ない資産でたくさんの品ぞろえができ、売り上げも上がる
・値下げよりも、短い供給納期を武器にすることができる
供給期間が短ければ、値下げのリスクもへり、利益率が上がる
在庫日数が7日ならば、7日で粗利率の儲けが期待できる
私も物販をやっているので、非常に参考になる話でした。
在庫を大量に持って売れるのを待つのではなく、必要な分だけ在庫を持ち、売れたら補充する。
トヨタのジャスト・イン・タイム生産の概念と同じです。
ユニクロの柳井さんも「良いMD(企画担当者)は売れない商品はすぐに見切って、値下げして売り切る。そして空いたスペースに売れるものを置くようにする」と言っていた記事もありました。
どうしてもたくさん仕入れた方が安くなるので利益につながると考えがちですが、決してそうではないことが勉強になりました。
マネジメントの管理・改善
目的、成果物、成功基準の設定⇒「ODSC」
これらを関係者と作ることで、コンセンサスをまとめることができる
プロジェクトは不確実なことの方が多いため、最初に目的と成功基準を明確に
することは非常に重要
・ODCSができれいれば、納期からさかのぼって実現のためのタスクを策定し、段取りを取っていけばいい
・開発プロジェクトは経営にとって極めて重要
①財務の視点 ②顧客の視点 ③業務プロセスの視点 ④成長と育成の視点
⑤経営理念の視点 ⑥社会貢献の視点
これらがODCSの目的になる
・上から押し付けられた目標よりも、自分たちで立てた目標を人は達成したいもの
・工程表を作るときの3つの質問
「その前にやることは何か?」「本当にそれだけか?」「○○したら××できるか?」
・進捗管理は過去ではなく、未来を変えるために行うもの
過去の報告ではなく、「あと何日でできるか?」「問題があるとしたら何か?」
「何か助けられることはないか?」と質問をする
あくまで未来を管理するために行う
納期に間に合わせることが困難なプロジェクトチームに対して主人公は、マネジメントを改善することで納期を間に合わせ、満足のいく成果を出しました。
特に、進捗管理は過去ではなく、未来を管理する、という言葉は印象的です。
自分のビジネスでも、過去の上手くいかない原因や、進捗が悪いことを分析するだけで終わっていました。
未来に対して管理をすることで、具体的な行動計画を立てることができるのは納得です。
最後に
本書は難しい専門用語もなく、出てくるキャラクターも好感が持てるのですらすら読むことができます。
私も2日ほどで読み終わりました。
倉庫・在庫・マネジメントに関わっている方、今後関わる可能性のある方は是非お読みください。
少ない投資で大きなリターンが得られる良書です。