読書レビュー 『お金に強くなる生き方』 佐藤優著

お金との上手な付き合い方とは

 

 

無理をしないで上手にお金と付き合うには? 日本人の平均年収

国税庁の調査では、日本の平均年収は414万円となっております。

しかし、これはあくまで平均値であり、高所得者に引っ張られています。

 

実際の給与階層別の比率ですと、最も多いのが「年間給与300万円超~400万円以下」の層で17.4%だそうです。

日本人の年収のボリュームゾーンは年収300万円台になります。

 

バブルの時のイメージなのか、年収500~600万が一番多いと勘違いしてしまいますが、年収600万円以上は上位10%にも入らない、高所得者層なのです。

著者はこの現状を踏まえ、300万円ならばそれを受け入れ、そのうえでその収入をいかに上手に、豊かに生きることができるかを考えることが重要だと述べています。

 

国家体制の違いで貯蓄率が変わる

国民が貯蓄志向かは、その気質よりも国家の社会保障と税制に左右されると著者は主張します。

米国は政府によるz生菌を少なくし、自由なお金で競争である経済活動をすることに価値をおいています。

ですので、社会保障も充実しておらず、国民は自立をし、個々人で投資やビジネスで資産を増やすマインドが刷り込まれています。

実際に米国の医療保険の問題は度々取り上げられています。

 

反対に、社会保障を徹底的に充実させる代わりに税金が高いのが北欧の国々です。

スウェーデンでは一定以上の年収の人は所得税率50%、消費税25%です。

しかし、教育費は、誰がどんな大学にいこうが一切かからず、医療にかかる費用も原則無料、失業しても1年間は高額な失業保険がおります。

スウェーデンの会社はよく従業員を解雇しますが、高額な失業保険が下りる為、クビになった本人はそれほど気にせず、その間にじっくり別の会社を探すみたいです。

 

日本は今後、高負担・低福祉という道に進もうとしている

こういった、低負担・低福祉と高負担・高福祉というスタイルの他に、高負担・低福祉の社会になろうとしているのが、日本です。

原因は分かりやすく、少子高齢化になります。

税金の担い手よりも福祉を受ける側が圧倒的に多くなり、負担は大きいけれども十分な福祉は受けることが出来ない可能性が高いのです。

 

こういった中で、消費増税をするのもある意味納得ができます。

しかし、世界の他の国の政策のメリット・デメリットを理解せず、なんとなく税金がどんどん上がり、それでも福祉はあまり期待できない(教育費などの援助)社会は明らかに不健全です。

 

自分で自分を守るためのマネー知識

こうした中で、私たちに最も必要なのはマネー知識、『金持ち父さんシリーズ』でいうところの、ファイナンシャル・リテラシーです。

 

会社員として企業にすべてをささげ、家庭を顧みず、しかし貯蓄はゼロという家庭が日本にはたくさんあります。

 

こうした中で著者は

  • 小さな規模のビジネス(副業)をやること
  • 余剰資金で長期投資を行うこと
  • 実物資産への投資も検討すること

を勧めています。

 

特に副業については、企業と従業員との本質的な関係の中で、その必要性を述べています。

「企業(資本家)は、利益を社員(労働者)には配分しない」とマルクスが『資本論』で明確に指摘しています。

労働者は契約をした時点で、労働力を会社に売っています。

個人がどれだけ稼いで、会社が利益を上げたとしても、それを会社と従業員で分配することはありません。

給与に不服ならば、労働者は契約をしなければいい、というのが企業の考え方であり、イニシアチブを持っているのが企業なのです。

 

特に今の40代~50代の会社員は、「モーレツ社員」と言われた団塊の世代の働き方を見ており、長時間労働も気にしない方も多いです。

まとまった休日もとらずに長時間勤務を受け入れ、金曜の晩はいつものメンツと会社の愚痴で飲み明かし、ギャンブルに依存する。これは自ら搾取されるプロレタリアート的なお金と時間の使い方をしてしまっています。

 

恐らく、会社以外の収入源が全くなく、依存していることがある意味「楽」であり、何も考えなくていい側面もあるためでしょう。

しかし、本当に優秀な人間は会社のいうことはある程度聞きますが、決して依存しておらず、自分の時間とお金を上手く投資しています。

 

かつての日本社会は、

  1. 会社は社員を終身雇用で雇う
  2. その代り、社員は会社に絶対服従
  3. 絶対服従なので、長時間労働も問題ないし、会社にいる以上、投資や税金の勉強もする必要はない
  4. しかし、年収がある一定以上ないと「負け組」とされてしまうため、さらに会社の仕事に注力し長時間労働をする
  5. 会社は安い給料とサービス残業で利益を出すが、それを分配はしない

という構造で成り立っていました。飲食業界がいい例です。

 

しかし、今後はこのようなスタイルが実現できる人はむしろ少数派だと思われます。

大切なのは、自分の現在の収入で上手くやりくりできる資産管理の知識と、余剰資金で副業や投資を行うマネー知識です。

 

そうして主体的にお金と付き合うことで、「老後不安」や「資産が1億ないと下流老人になってしまう」といった噂に流され、高額の情報商材や高い手数料の金融商品に手を出すこともなくなります。

 

皆さんも自分とお金の付き合い方を考える際に、是非ご一読ください。

 

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