読書レビュー 『池上彰が聞いてわかった生命のしくみ』岩崎博史 田中英樹著

生命科学は暗記科目ではない。基礎を学べる素晴らしい本でした。

東工大の講義の内容を本にしたこちら。

私自身、生命科学は暗記科目のイメージがありましたが、こちらの本は対話式でつかみやすい文章と池上さんの要約が素晴らしく、理解が簡単でした。

 

遺伝子、ゲノム、DNA、染色体の違い

良く聞く用語としてあるこれらは、なかなか違いといわれても説明できないものです。

こちらの本では、

「遺伝子」とは生命に関する情報の概念

「ゲノム」とは遺伝子の総称=その生命に必要な遺伝子のすべて

「DNA」とは遺伝子を担う物質

「染色体」とはDNAが集まったもの

と説明しています。

遺伝子とゲノムは情報(概念)であり、DNAと染色体は物体という説明はとても理解しやすかったです。

 

セントラルドグマとは

こちらのセントラルドグマの概念を理解できれば、生命科学の基礎はOKとこちらの本では書かれています。

 

セントラルドグマとは生命の統一原理とも呼ばれ、すべての生命に共通した働きのことです。 人間だろうが植物だろうが微生物だろうがすべてです。

そして、セントラルドグマは生命活動のすべてを担っているタンパク質を作る流のことを指します。

 

DNAからRNA(リボ核酸)に遺伝情報が転写(コピー)され、RNAからタンパク質がつくられる(翻訳とも呼ばれる)一連の流れです。

 

DNAは遺伝子の情報を担っている、非常に重要なものですから、一度RNAにコピーしてからタンパク質をつくるようです。 RNAはすぐ壊れてしまう転写機みたいなイメージですね。

 

多様性のある生命は強い

ゲノムには多くのムダが存在しますが、それは生命の多様性を作るうえで重要なものと言われています。

 

物質の生産工場のように、決まった商品を決まった材料と手順で組み立てるのとは生命の歴史は異なります。

手当たり次第いろいろな材料や手順を使っていき、上手くいったものを採用するという手法です。

 

最近、「多様性のある組織は強い」と言われることも多くなってきていますが、最初からフィルターをかけた人材だけで占められた組織よりも、多様な考え方や行動をする社員が集まった組織の方が物事に柔軟に対応できる、というイメージですね。

 

私たちの命はすさまじく巧妙かつ精密な仕組みでできていますが、それは祖先が様々なトライ&エラーを繰り返して出来上がったものということが分かりました。

 

分かりやすい内容と池上さんの聞き方で、どなたでも生命科学が楽しく学べる本書はとてもおすすめですので、是非ご一読ください。

 

 

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雪だるま式~Snowball-Effect~
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