最新鋭のゲノム編集技術「クリスパー」の力とは
- ゲノム編集とは遺伝子やDNAの狙った箇所をピンポイントで削除、または改ざんをする技術である
- クリスパーはゲノム編集の技術の中で注目が集まってきているもので、「DNAのメス」とも言われている
- 遺伝子組み換えと異なり、短時間かつ低コストで実現ができる
- グーグルやアマゾン、製薬企業や食品企業が研究を進めている
DNAのメス「クリスパー」
こちらの本は池上彰さんが帯を書かれておったことがきっかけで手に取りました。私はこの分野については全く知識はありませんが、この本を読むことで遺伝子やDNAの基礎的な知識と、最新鋭のゲノム編集技術についての知識が学べます。
とは言っても、用語や理解を超えている個所も多数ありましたのでかいつまんでレビューを書かせていただきます。
現在、世界中の科学者と企業が研究を進めている「クリスパー」。
こちらはイメージとしては「DNAのメス」、遺伝子やDNAの狙った箇所をピンポイントで切断・改ざんができるといったものです。
遺伝子組み換えとの違い
よく食品で「遺伝子組み換えを行っていません」と記載されています。
遺伝子組み換え技術は、例えばマウスに本来とは異なる性質の遺伝子を組み込むことで、病気などを発症する遺伝子を殺してしまう(ノックアウトマウス)のことです。
しかし、遺伝子組み換え技術はかなり精度が低く(狙った効果が出る可能性が低く)、かつ時間がかかるためコストが増大するという問題点があります。
それに対してクリスパーのようなゲノム編集では、誤差はあるにせよ、DNAの狙った箇所を切り取ることが可能であり、短時間で目的の効果が出せます。
世界中の企業が研究を進めている
グーグルやアマゾン、製薬会社、食品会社がこの研究競争を進めています。
理論的には癌などを発症させる遺伝子をクリスパーで改ざんすることで発症を抑えることができますし、食品においては「腐りにくい」や「従来よりも大きい食物」を生み出すこともできます。
人間の寿命を500年延ばすことも、研究が進めば可能性はあるそうです。
ITやクラウドのサポートがあれば、人間の遺伝子の解明が超スピードで進み、解明ができればクリスパーで改ざんが可能だからです。
しかし、倫理的な問題も多数あります。
デザイナーズベイビーや優生学の考え方を助長することも予想されます。
寿命を延ばしたり、病気を治したいという思いは全ての人間に共通していることだと思います。
しかし、命の優劣をつけたり、遺伝子を操作して優秀な人間をつくるということをやる権利が人間にあるのか?
こうした問いは今後私たちが考えなければならないことだと思います。
本書を読んでその為の下地を作ることはとても有効だと思いますので、是非一度ご一読ください。